◆概況

建物の西洋化が進むにつれ、和室を希望するお客様が年を追うごとに減少している業種である。しかし減少しているとはいえ、いつの時代も常に一定量の強いニーズを持つ顧客も多い。市場が全て消滅するとは考えづらいビジネスである。

最近は通常一般的ない草の畳だけではなく、「七島い(しちとうい)」という原料を使う琉球畳(りゅうきゅうだたみ)や、畳のふちの部分である「縁(へり)」の無い畳、そして和室ではなく洋間の一部に置く畳など、和室の概念、一般的な畳の使用範囲の概念を超えて商品開発がなされており、新しい需要の喚起も行われている。

◆ある畳屋の対策

,クライアントが誠実な家族経営で値がいい人と判断したこと、そして長年において代々続いている会社であることなどから、規模感・価格の安さなどは無視して、畳の素朴な味わい、良さが滲み出る雰囲気を出していくべきと判断し、新しいホームページの動画にそのイメージを出した。

,ページ全体においても、売りの匂いは消し、畳の魅力、そして畳に関することなら何でも聞いていただいてOKですよ!的な、「気軽な御用聞き」の雰囲気を出すようにした。

,しかし1と2だけではいまいち真面目のみで暗めにイメージを第三者に持たれる可能性があった。そのため1と2の条件をいい意味で破壊するイメージキャラクターを作成し投下した。畳に関する主要な説明部分を真面目腐った説明の一辺倒になる可能性を、いい意味で破壊するキャラクターが話すことによって、ホームページ全体のイメージが軽くなった。明るくなった。

,キャラクターの登場により、地域に出している広告物やスタッフの名刺にもデザインを共有。デザイン物のイメージの統一を行うことで、真面目腐ったイメージに終わることなく、明るい畳屋さんイメージが持たれるようになった。

,「畳」と「地域」のキーワードを結び付けるSEOに注力した。おかげでキーワード「畳」及び畳関連の隣接キーワード、そしてそのエリアのSEOは全て検索1位を獲得している。

,新規の問い合わせの間口を拡げるために、新たにLINE公式アカウントを設置した。お客様がLINEで気軽に畳のことで問い合わせをしてくれる環境を用意した。

◆展望

根がまじめな上で、ちゃんと仕事はやってくれそうなイメージかつ、キャラクターを通して明るい・楽しいイメージを持たせることができたので、あとは新しい、切り口の違う畳の情報をコンスタントに配信していくことで顧客引き寄せのスパイラルが動き出す。ストーカーにならない程度に、かつ商売絡みの情報以外の地域の情報などもコンスタントに配信しつづければ、既存顧客からの畳替え等のリピートやお客様の紹介も時間の経過と共に増えると想定する。

◆必要なもの

●キャラクター
●ホームページ
●SEO対策
●MEO対策
●SNS対策(LINE公式アカウント)

◆利用可能な補助金

●事業再構築補助金
●小規模事業者持続化補助金
●ものづくり補助金
●IT補助金
●(世代交代の場合)事業承継引継ぎ補助金
●経営力向上計画
●先端設備導入計画

◆総論

元々「癒し」のポテンシャルがある会社だったので、その魅力をバカ正直に伝えるだけではなく、地域の人々やお客様にも楽しく面白く感じてもらえるように、新たなキャラクターを設置して、社内外から愛されるようにしたことは、畳屋だからどうのこうのではなく、地域に根づいて誠実な商売を行っていく矜持を持つ中小企業には、どの商売においてもいい事例として通じるポイントがあると思います。
長いトレンドで見れば、産業自体は衰退の方向に向かうにしても、同業他社の方もそれに比例して年々減っていくので、衰退トレンドにおいても、中長期であれば「規模の経済」が働き、業績を伸ばし続けていけると思います。また業績を大きく伸ばすというよりは、どういう景気下でも下がりづらい体質になったと思います。

K社のホームページ
採用されたキャラクター