◆概況

日本は人口あたりの喫茶店の店舗数が多いこともさることながら、一般的な喫茶店にのみならずセルフサービス型のコーヒーショップが勢力を拡大してきた影響で、ほぼ全国どこに行ってもカフェブレイクができる場所があるという世界的に見ると特殊な国である。カフェは多いが、しかしフルーツパーラーという業態となるとカフェの派生であるもののその件数は一気に減る。喫茶の出店に比べ、フルーツの専門知識や加工、鮮度管理方法など通常の喫茶店では考えられないほどの思考する点が多い。また、客層が通常の喫茶店と全然違う。従来の喫茶の主要ニーズである「ひと息入れる」というニーズは主に年配の男性向けであるが、フルーツパーラーのニーズはどちらかというと人気のあるフルーツパーラーは通常の喫茶に比べ低年齢層の女性の方々に支持されている。さらに付加価値を上げて高級フルーツのジャンルまで昇華する戦略を引く企業も多い。

◆あるフルーツパーラーの対策

,高級フルーツの路線で、隙が無く高級感を出していく方向性には少し無理があると考え、盛りだくさんのフルーツが、お値打ちにてんこ盛りで提供されることを通し、お客様を感動&驚かせ、それを各SNSで情報を各桟してもらい、他のお客様の物珍しさによる来店を促す戦略を軸に考えた。

,フルーツパフェやパンケーキ、ズコットなどフルーツてんこ盛りの商品画像を新たにホームページを作成しアップした。またメディアの取材に応じていたのに、今まではそれをホームページのニュースに流していなかったが、ホームページに記載するようにした。

,ツイッターを本格的に開始。自由に発言されやすいツイッターを軸に、その後写真映えするインスタグラムとの相性がいいとの判断からツイッターとインスタグラムの2軸でSNSを頻繁に更新をするようにした。

,店舗の席に「LINE公式アカウントの友だち登録依頼」のT型ポップを設置した。クーポンを適時発行し、年間来店回数を増加させた。また共に連れてきてくれる別の新規のお客様数の来店人数増にもつながっている。

,ホームページとは別にフルーツのショッピングサイトを立ち上げる。LINE公式アカウントのお友達やツイッターとインスタグラムで商品をアピール。併せてクリスマスケーキの予約システムを立ち上げる。ネットでクリスマスケーキが注文可能となり、過去最高の事前注文数を獲得した。

◆展望

元々ネット施策に弱かったが、弱いなりに何もかも手を出すのではなく、できる範囲で絞ってツイッターやインスタグラムを更新していく体制が良かった。早期に1万人以上のユーザーを獲得し、その情報は海外にまで広まった。コロナ前は台湾やヨーロッパからの方の来店が増えるなど、想定外の収益も伸びた。

コロナになり一時的に集客はもちろん減ったが、シンプルにフルーツをてんこ盛りにして映えるようにした商品構成に絞って愚直にビジネスを展開していっていたので、他の飲食店や一般的な喫茶店に比べ、立ち直りも早かった。また店舗を複数化していたので、クリスマスケーキのネット予約販売をできるようにしたおかげで、店舗での予約をしなくてもネットで注文できる、つまり今までは店舗にわざわざ出向いて時間をかけて予約を取らなければならなかった時間やその人件費、また受付まで時間がかかるのでお客が帰ってしまった機会損失もこのシステムのおかげでカバーできるようになった。今後は誕生日ケーキの予約システムの設置を準備している。

◆必要なもの

●ホームページ
●ECサイト
●LINE公式アカウント
●ツイッター、インスタグラム
●クリスマスケーキ予約販売システム

◆利用可能な補助金

●事業再構築補助金
●小規模事業者持続化補助金
●ものづくり補助金
●IT補助金
●(世代交代の場合)事業承継引継ぎ補助金
●経営力向上計画
●先端設備導入計画

◆総論

ネットを苦手にしているならば、苦手にしていて構わないので、最低限できることをきっちり行っていく、更新していくことを守る。配信ペースを守るなどを行い、やれないことは全て外注することによってしっかりと結果を出したモデルケースであると言える。

早い段階で、ツイッターとインスタグラムの2軸にSNSを絞ったこと、LINE公式アカウントで友だちを囲い込んで魅力的な情報をコンスタントに流して、永年フリーク化してもらうこと、フリーク化したお客様にフルーツの詰め合わせやクリスマスケーキの予約などを販売できるようにし、直接店舗で無くても売り上げを伸ばす仕組み、つまり社会実装もうまく行ったと思われる。今後も多店舗化をする予定であるので、マネタイズとスケール化を念頭において、適切な施策を提案&投下していきたい。

フルーツパーラー K店のホームページ
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フルーツパーラー K店の
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