経営革新計画のガイドブック
経営革新計画のガイドブック

経営革新計画とは、中小企業が自己改革を行い、新しい成長戦略を確立することで、事業環境の変化に対応するための計画のことです。中小企業が経営革新計画を策定することで、事業の拡大や成長を目指すための支援や優遇措置を受けることができます。また他の補助金の採択に関し優先を受けたり、加点をもらう等のメリットもあり近年静かな人気となっています。


経営革新計画とは

企業が取り組むイメージ

経営革新計画は、政府・中小企業庁が主管します支援施策の一つとして、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図る目的で策定する、中期的な経営計画書のことを意味します。
このような経営計画策定を通じ、対象事業者にある現状の問題や基準点が明白になるという効果が期待できる他、国や都道府県に計画が承認されると、幾つもの支援策の対象となってきます。


経営革新計画に伴う有利性

経営革新計画は、申請する事業者自身が経営改善に資する計画でして、この計画策定により政府や公共機関が行なっている各種支援を受け取れるため、最終的に自社の経営改善が進められるのです。
経営革新計画の大きな長所について詳細に現実的にご説明いたします。

メリット1:融資や保証に関しての多様な支援

信用保証制度に関しての特例措置が可能となります
経営革新計画の承認事業の為に掛かってくる資金融資の信用保証に関して、既存の保証枠とは別枠で最大で2.8億円の支援をしてもらうことができます。
詳細は、1社単独の場合には普通保証2億円に加えて無担保証0.8億円になります。
日本政策金融公庫の特別利率が可能となります
事業者が政府系金融機関と見なされる日本政策金融公庫よりの融資を行ってもらう際には、同公庫の「新事業活動資金・新事業活動促進資金」制度の利用により特別利率の適用が受けられます。
高度化融資制度の利用が可能となります
経営革新計画の承認に従って事業者が「高度化事業」(※注1)に乗り出すケースで、関与している融資を無利子で利用可能になります。
(※注1)中小・中堅企業が連携して工業団地を建設をしたり、商店街にアーケードを整備する等、同じ目的を持っている事業体同士で組織する中小企業組合等の集団に対し、主管する都道府県と中小企業基盤整備機構(中小機構)が協力し、当該事業計画を対象にしたアドバイスや施設・設備資金に対しての融資に関して援助する事業になります。
食品流通構造改善機構においての債務保証が可能です
事業者が食品製造業の場合では、金融機関より融資を行なってもらう場合に食品流通構造改善機構からの債務保証を受けることができます。

メリット2:海外展開に関する支援

「スタンドバイクレジット(信用状)制度」においての支援が可能です
必要条件を満たした中小企業者に関しての外国関係法人が、国外の金融機関より1年を越える長期借入を実施するケースで、日本政策金融公庫によるスタンドバイクレジット(信用状)の提供を受け、債務保証が可能となっています。
中小企業信用保険法の特例措置
事業者が日本国内の金融機関より融資をして貰う場合に、海外投資関連保証の最大限度額が普通よりも引き上げられます。
日本貿易保険(NEXI)による支援措置の利用
外国関係法人が、日本貿易保険が実施する「海外事業資金貸付保険を利用する事が可能となっています。
食品流通構造改善機構においての債務保証が可能です
事業者が食品製造業の場合では、金融機関より融資を行なってもらう場合に食品流通構造改善機構からの債務保証を受けることができます。

メリット3:投資及び補助金等の支援

起業支援ファンドによっての投資の可能性
民間ファンドに中小機構が出資し、株式又は新株予約権付社債等に因る資金調達を始めとした、ファンドによっての投資の可能性があります。
中小企業投資育成株式会社によっての投資の可能性
中小企業投資育成株式会社より、原則として資本金の額が2億円以下の所、3億円よりも高額のケースでも投資対象となるケースがあります。
経営革新と関連する補助金受給の可能性
主管します各都道府県の一部には、経営革新計画を対象とする補助金を運営管理しているケースがあります。

メリット4:販売ルート開拓の支援

販売ルート開拓コーディネート事業が行なう支援が可能です
中小機構での商社・メーカーOBによる販路開拓支援が可能になります。
新価値創造展に向けて出展
中小機構が行うイベントに関する出展審査時に、加点の対象となります。

メリット5:これ以外の支援

特許関係料金の減免が可能です
経営革新計画に関しまして事業者が出願する特許申請に対し、審査請求料及び1~10年の特許料に対する半額免除制度が利用可能になります。
ものづくり補助金においての加点・優遇措置
ものづくり補助金の審査上、有効期限の経営革新計画承認を基にしている加点や、補助率アップといった優遇措置が存在します。 点の対象となります。

経営革新計画の承認を受ける為に必要な計画内容は、次にあげる5種類に当てはまる新しい取り組みが必要になってきます。

・新商品の開発並びに生産
・新役務の開発あるいは提供
・商品の新規の生産もしくは販売の方法の導入
・役務の新規の提供のやり方の導入
・技術に関した研究開発並びにその成果の利用その他の新規の事業活動

経営指標について

経営指標のイメージ

経営改革計画の承認に関しましては、以下に提示する基準に適合することが必要です。


付加価値額若しくは一人当たりの付加価値額
・事業期間が3年の場合:計画終了時に9%以上向上
・事業期間が4年:同12%以上
・事業期間が5年:同15%以上

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費、1人あたりの付加価値額=付加価値額/従業員数
給与支給総額
・事業期間が3年の場合:計画終了時に4.5%以上向上
・事業期間が4年:同6%以上
・事業期間が5年:同7.5%以上

給与支給総額に含まれる経費:従業員や役員に支給する給料、賃金、賞与、各種手当(残業手当、休日出勤手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)というような給与所得
・給与支給総額=給与賃金+専従者給与+青色申告特別控除前の所得金額

申請手順

経営革新計画の申請より承認に至るまでの手順についてご説明します。

経営革新計画策定の用意

新規事業を策定のイメージ

経営革新計画を策定する為に、そこに至る前に自社の事業内容をとことん検証し、計画策定を目標とする準備を整備することが必要です。自社のおかれた状況を意識して、経営内容を改革する為に的確に思われる新規事業を策定するようにしましょう。
経営革新計画については、上述の通り他社との共同・協働により複数の会社で具現化するケースでも対象となる為に、考案した新規事業に対し自分の会社単独の資産で対応するべきか、他社との連携の中において対応するべきか含め、広範囲に及ぶ視点で検討してみる事が注目すべき点となります。
尚、計画立案に関しましては、申請窓口とされる都道府県の他、各地域において経営革新計画策定を担う中小企業診断士等が嘱託という形で行なっている場合もあるため、こういったチャネルを有効活用する事も効果的です。


経営革新計画の策定

打ち合わせをする人達

事前準備が整ったら、次は経営革新計画を策定いたします。
経営革新計画に関しては所定のフォーマットが決まっているので、当該書式(申請書本文および別表1~7)から成る計画書を作成します。その段階で検討しなければいけない事項は次の通りです。


計画の概要と付加価値向上目標(別表1)
経営革新計画においての事業の全容、及び計画実施前後の付加価値額・経常利益額の改善額を記します。
実施計画と実績(別表2)
経営革新計画としまして実施する実施内容と評価基準・周期および実施時期を整理し記載します。計画が決定された後は実績欄にも記録し、進捗管理が必要になってきます。
経営計画および資金計画(別表3)
経営革新計画の実施に依存する業績の進展関係の計画値を算出します。
収支計画部分と資金調達計画部分があって、経営革新計画の実施に因る将来の収支計画と、付加価値額・一人当たり付加価値額・経常利益額の推移及び、必要な資金の調達計画を記録します。

各指標の計算法は下にあげた通りです。

・付加価値額 = 営業利益+人件費+減価償却費
・1人あたり付加価値額 = 付加価値額÷従業員数
・経常利益 = 営業利益-営業外費用(支払利息・新株発行費用)

設備投資計画及び資金計画(別表4)
経営革新計画に従い、必要になる設備投資額及び運転資金必要額に関して書くようにしています。

そういったものを数値計画としまして策定する他、研究開発に関した負担金の設定や希望する支援策に関する要望事項などを取り纏めて、所定のフォーマットに記して提出します。

経営革新計画の承認申請

経営革新計画の承認というのは、基本的には事業者の本店が所在します都道府県での担当部署への申請となるのです。但し、複数社で共同・協同して申請するケースでは、その関係性より申請先が異なってくる事があります。
経営革新計画の承認は、形式審査・内部審査を経過して毎月1回の審査会での決定に従い、通常1カ月程で認可されます。


経営革新計画の承認率

経営革新計画の承認のイメージ

経営革新計画の承認率に関しまして、明確な数字はオープンにしていませんが、概ね10%程度とみられております。
これを東京都の申請事例に当てはめると、2017年に関しての月々の承認件数は月間平均約30件であり、採択率から逆算したところ、実際に申請を行なった企業は月々約300社以上となると言えます。


経営革新計画と比較しての違い

KPIのイメージ

経営革新計画につきまして詳しく解説してきたのですが、様々な補助金の募集要項には、この事と両立して「経営力向上計画」が記述されています。
経営革新計画と経営力向上計画の違いに関してご説明します。


大きな違いは計画の目的です

経営革新計画と経営力向上計画双方、中小企業等経営強化法を基準にして実施されるものではありますが、計画を作る目的が変わってきます。経営革新計画は、新規業務分野への進出や、革新的な事業を行う為に必要な計画です。
お陰で、中小・中堅企業等が新しい事業活動に取り組み、経営を相当程度改善することを目論んで策定されるものになります。ですから、経営革新計画を申請する際には、今後自社が取り組む予定の事業が如何に革新性があるかにつきまして詳しく説明することが必要です。
一方、経営力向上計画は、現在企業が実施している事業をより一層育むために策定する計画になります。人材育成や財務内容のリサーチ、マーケティングの実施やITの利活用、また生産効率向上を目指した設備投資などを使って、事業者が自社の経営力を改善されることを目指して策定されるものになります。
つまり、前者は新規事業展開に、後者は既存の事業改善に、各々尽力する違いが出ます。

計画認定機関も違う

経営革新計画は事業者が所在している都道府県の知事が認定するというのと比べて、経営力向上計画は対象事業の科目を主管する大臣が認定いたします。業種で認定するか地域で認定するか、の相違というわけです。
これにより、前者では各地域での基準を、後者では自社事業の所属事業分野を、各々確認することが必要です。

優遇制度の違い

経営革新計画が認められると、政府系金融機関によりけり低利融資制度や信用保証協会の保証枠の拡大といった優遇対象となってきます。一方、経営力向上計画が認定されると、固定資産税の減免や金融支援の特例措置を筆頭とする優遇を受けることができます。
両者共、税金の減免や金融支援・法的支援等、多様な優遇を受けることができます。

最後に

経営革新計画の認定を受けることで、中小企業は事業拡大や成長を目指す上で必要な支援や優遇措置を受けることができます。補助金や金融支援、税制優遇など、さまざまな支援があるため、中小企業がより安心して事業拡大・成長に取り組めるようになります。今後も、中小企業が経営革新計画に取り組むことは非常に重要であるため、機会があればぜひ検討すべきものと思います。